沖縄県の宿泊税はいつから?民泊も対象・税率・会計処理を税理士が解説

沖縄県で宿泊税の導入が決まりました。2027年(令和9年)2月1日から課税開始で、ホテルや旅館だけでなく民泊(住宅宿泊事業法)も課税対象です。民泊運営者は宿泊者から税を預かって県に納める「特別徴収義務者」となり、登録・徴収・申告納付という新しい事務が発生します。
この記事では、沖縄県宿泊税の内容(いつから・いくら・誰が払う)、民泊運営者がやるべきこと、そして見落とされやすい宿泊税の会計処理(預り金の扱い)までを、自ら沖縄で民泊を運営する公認会計士・税理士が解説します。
▌ この記事のポイント
- 沖縄県宿泊税は2027年2月1日から課税開始。税率は定率2%・1泊1人あたり上限2,000円。
- 民泊(住宅宿泊事業法)も課税対象。運営者は宿泊者から徴収し県に納める「特別徴収義務者」になる。
- 運営者は施設ごとに県へ登録し、原則毎月、宿泊税を申告・納付する。
- 宿泊税は預かって納めるだけの「預り金」で、運営者の売上でも費用でもない。仕訳を誤らないことが重要。
沖縄県宿泊税とは(いつから・いくら・誰が払う)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税開始 | 2027年(令和9年)2月1日 |
| 税率 | 宿泊料金に対して定率2%(1泊1人あたり上限2,000円) |
| 負担する人 | 宿泊者(ゲスト) |
| 集めて納める人 | 宿泊施設の運営者(特別徴収義務者) |
| 納付先 | 沖縄県(市町村が独自税を併設する地域は、その市町村を通じて納入) |
宿泊税は、宿泊料金(素泊まり相当)に対して2%を上乗せして宿泊者から預かり、運営者が県に納める仕組みです。たとえば1泊10,000円なら宿泊税は200円、1泊50,000円なら上限の2,000円が適用されます。
出典:沖縄県公式ホームページ「沖縄県宿泊税」(制度の詳細・最新情報は必ず県の公式案内をご確認ください)
民泊も課税対象になる
沖縄県宿泊税の課税対象となる宿泊施設は、次のとおり幅広く定められています。
- ホテル・旅館・簡易宿所(旅館業法の施設)
- 特区民泊(国家戦略特別区域法)
- 民泊(住宅宿泊事業法)
つまり、どの制度で運営していても沖縄で宿泊サービスを提供していれば、原則として宿泊税の対象になります。制度の選び方そのものは沖縄民泊の許可申請(民泊新法vs簡易宿所)で解説していますが、どれを選んでも宿泊税の徴収義務は生じる点に注意してください。
民泊運営者がやること(特別徴収義務者の義務)
宿泊税は運営者が宿泊者から預かって納める「特別徴収」方式です。運営者には次の義務が生じます。
| やること | 内容 |
|---|---|
| ① 登録 | 特別徴収義務者として、施設ごとに県知事へ登録する(営業開始前や指定後の所定期間内に手続き)。 |
| ② 徴収 | チェックイン時などに宿泊者から宿泊税を預かる。料金表示・受領方法を整える。 |
| ③ 申告納付 | 預かった宿泊税を原則毎月、県に申告して納付する(月1回から3か月に1回とする特例の設定が予定されています)。 |
⚠ 予約サイト経由の徴収方法を事前に決めておく
Airbnbなどの予約サイト経由の予約で、宿泊税をどのタイミング・方法で受け取るか(オンライン決済に含めるのか、現地で別途受け取るのか)は、施設ごとに運用を決めて宿泊者に明示しておく必要があります。予約サイトの売上・手数料の扱いは予約サイト手数料の会計処理もあわせてご確認ください。
宿泊税の会計処理は「預り金」
ここが、ニュースや宿泊業者向けの解説では触れられにくく、税理士が最も価値を出せる部分です。宿泊税を売上に混ぜてしまうと、売上が過大になり、消費税の判定にも影響しかねません。
仕訳の考え方(一般的な例)
| 場面 | 仕訳の考え方 |
|---|---|
| 宿泊料+宿泊税を受領 | 宿泊料10,000円+宿泊税200円を受け取った場合:売上は10,000円、宿泊税200円は預り金として区分する。 |
| 県へ納付 | 預かっていた宿泊税を県に納める:預り金200円を取り崩して納付。運営者の費用にはしない。 |
ポイントは、宿泊税を「売上」にも「経費」にも入れず、預り金として通過させることです。これを徹底しておくと、損益も消費税の課税売上高も正しく保てます。
⚠ 消費税との関係は区分表示が前提
宿泊税を消費税の課税標準(売上)に含めるかどうかは、料金への上乗せ方や区分表示の方法によって扱いが変わり得る論点です。預り金として明確に区分しておくことが基本ですが、判断に迷う場合は税理士にご確認ください。消費税全体の論点は民泊の消費税の解説もどうぞ。
運営者としての準備
私自身、自分の沖縄の施設で2027年2月の課税開始に向けて、料金表示・予約サイトでの受け取り方・会計ソフトでの預り金処理を今から整理しています。宿泊税は金額こそ小さくても、「売上に混ぜない」「毎月納付を忘れない」という運用をはじめに固めておくと、後の事務がぐっと楽になります。
市町村独自の宿泊税との関係
沖縄県内では、県の宿泊税に加えて、一部の市町村が独自の宿泊税を導入する予定です。市町村が独自税を併設する地域では、県税の税率が調整される設計になっています(県税が定率0.8%・上限800円に調整されるなど)。
- 市町村宿泊税の施行予定地:本部町・恩納村・北谷町・宮古島市・石垣市(2026年6月時点の県公表情報)
- これらの地域では、県宿泊税も当該市町村を通じて申告納入する形が予定されている
- 那覇市など他の市町村でも独自導入の検討が報じられている(今後の動向に注意)
⚠ 制度は固まりつつある段階です市町村独自税の有無・税率・手続きは地域ごとに異なり、今後変わる可能性もあります。自分の物件がある市町村の最新情報を必ず確認してください。
非課税の宿泊と準備スケジュール
課税が免除される主な宿泊
- 学校教育活動としての宿泊(修学旅行など)
- 日本中学校体育連盟その他の規則で定める団体が主催する大会への参加に伴う宿泊
なお、沖縄県宿泊税には金額による免税点(一定額未満は非課税とする仕組み)は設けられていません。
運営者が今から進めたい準備
- 自分の物件が県税のみか、市町村独自税の併設地域かを確認する
- 料金表示と、予約サイト・現地での宿泊税の受け取り方法を決める
- 会計ソフトに宿泊税の「預り金」処理の設定をしておく
- 特別徴収義務者としての登録手続きの時期を確認する
よくある質問(FAQ)
民泊でも宿泊税はかかりますか?
はい。住宅宿泊事業法の民泊も特区民泊も課税対象です。運営者は宿泊者から宿泊税を預かり、県に納める特別徴収義務者になります。
宿泊税はいつから、いくらですか?
2027年2月1日から、宿泊料金に対して定率2%(1泊1人あたり上限2,000円)です。市町村が独自税を併設する地域では県税分が調整されます。
宿泊税は売上に含めて記帳しますか?
含めません。宿泊税は宿泊者から預かって県に納めるだけの「預り金」で、運営者の売上にも費用にもなりません。売上と区分して処理します。
毎月納付しなければいけませんか?
原則は毎月の申告・納付ですが、月1回から3か月に1回とする特例の設定が予定されています。詳細は県の最新案内をご確認ください。
準備チェックリスト
- 2027年2月1日の課税開始に向けてスケジュールを把握した
- 自分の物件が県税のみか、市町村独自税の併設地域かを確認した
- 宿泊税の受け取り方法(予約サイト・現地)を決め、料金表示を整えた
- 会計ソフトで宿泊税を「預り金」で処理する設定にした
- 特別徴収義務者としての登録手続きの時期を確認した
こんな方は、宿泊税への対応を早めに整理することをおすすめします
- 沖縄で民泊・宿泊業を運営していて、宿泊税の事務に不安がある
- 宿泊税を売上と分けて会計処理する方法が分からない
- 市町村独自税の併設地域かどうか確認したい
- 本土在住で沖縄の物件を遠隔運営しており、徴収・納付の体制を整えたい
まとめ
沖縄県宿泊税は2027年2月1日から始まり、民泊も課税対象です。運営者は特別徴収義務者として、県への登録・宿泊者からの徴収・原則毎月の申告納付という新しい事務を担うことになります。金額は1泊1人あたり宿泊料金の2%(上限2,000円)です。
実務で特に大切なのは、宿泊税を「預り金」として売上・費用と分けて処理することです。ここを誤ると、損益も消費税の判定もずれてしまいます。また、本部町・恩納村・北谷町・宮古島市・石垣市など市町村独自税の併設地域では扱いが変わるため、自分の物件の所在地の最新情報を確認しておく必要があります。
当事務所は、自ら沖縄で民泊を運営し、2027年2月の課税開始に向けて実際に準備を進めている立場から、宿泊税の会計処理・徴収体制づくり・消費税との整理までをサポートします。宿泊税の対応に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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