自ら沖縄で宿泊業を運営する会計士・税理士が語る|稼働率・コスト・税務の「実際の数字」

「税理士に相談しても、宿泊業のリアルが分かっていない」——県外オーナーの方からよく聞く言葉です。当事務所は机上の知識ではなく、私自身が2025年2月から沖縄で宿泊施設を運営してきた実データをもとに開業と会計をご支援しています。このページでは、その運営で分かった「数字の現実」を、事業計画づくりに役立つ形で公開します。
先に結論(運営して分かった3つの現実)
- 稼働率は開業初月から満室にはならない——安定稼働まで4〜6か月かかる。1年目は「立ち上がり」を織り込んだ計画が必須。
- 利益を決めるのはコスト構造——予約サイト手数料・清掃・リネン・保険・固定資産税で、売上の約半分が経常コスト。事業計画はここを甘く見がち。
- 勝負は「税引後」——消費税の還付、減価償却、2027年開始の沖縄県宿泊税。会計士・税理士が入ると「手取り」が変わる。
なぜ、会計士・税理士が自分で宿泊業を運営しているのか
私は監査法人(トーマツ)を経て、埼玉で会計事務所を営む公認会計士・税理士です。その私が、県外在住のまま沖縄で旅館業の許可を取り、金融機関(沖縄振興開発金融公庫)の融資を受けて、一棟貸しの宿泊施設を実際に運営しています。許可を取得したのが2025年1月、稼働を始めたのが同年2月です。
きっかけは、大好きな沖縄に、何か貢献できないかという思いでした。会計士・税理士として培ってきた力を、なんとか沖縄に還元できないか——そう考えたときに、まずは自分自身が事業者として現地に入ってみよう、と決めたのが始まりです。
そして結果的に、この選択は仕事の質そのものを変えました。予約サイトの手数料明細、清掃とリネンの手配、保険や固定資産税の請求、そして消費税や宿泊税の実務——これらは、資料で読むのと自分の口座から支払うのとでは、見え方がまったく違います。運営で積み上げたノウハウのおかげで、県外オーナーの方が「どこでつまずくか」を、当事者として分かるようになりました。
数字①|稼働率は「4〜6か月」で立ち上がる
事業計画で最も多い誤りが、「開業初月から平均稼働◯%」で売上を組んでしまうことです。実際の立ち上がりは、レビュー件数がたまり、検索順位が上がるにつれて、ゆるやかに伸びていきます。私の施設の実感値は次のとおりです。
計画づくりのポイント
1年目は「初月から満室」ではなく、上の立ち上がりカーブを織り込むこと。特に融資の返済が始まる初年度は、本業の他収入や自己資金でキャッシュの谷を埋められるかを必ず確認します。当事務所では、この立ち上がりを月次で織り込んだ資金繰り表を一緒に作成します。
数字②|利益を決めるコスト構造と、計画で見落とす3点
一棟貸しの宿泊業は、売上そのものよりもコスト構造で手残りが決まります。私の運営実績を、売上に対する割合でならべると次のようになります(施設規模・運営形態で変わるため、目安としてご覧ください)。
| 費目 | 売上に対する割合(運営実績の目安) | ひとこと |
|---|---|---|
| 予約サイト手数料(OTA) | 約15% | 計画で最も過小計上されやすい。Airbnb・Booking.comの手数料は侮れない |
| 清掃 | 約13% | 回転数に比例。自前か外注かで性格が変わる |
| リネン | 約5% | 棟数・室数が増えるほど効いてくる |
| 水道光熱 | 約4% | 沖縄は空調負荷が高い |
| 損害保険(火災・地震) | 約2% | 計上漏れが起きやすい。居住用ではなく事業用の火災保険になるため保険料が高額に |
| 固定資産税・消防点検 ほか | 数% | 旅館業は設備点検が必須。固定資産税は取得額に比例 |
| 経常コスト 合計 | 売上の約5割 | 「営業利益率7割」の計画は、まず疑ってよい |
事業計画で見落とされる3点(実際によく見ます)
- 予約サイト手数料の過小計上——「販管費に少し」ではなく、売上の15%前後を最初から引く
- 損害保険・固定資産税の計上漏れ——住まいの感覚で見積もらない。事業用の火災地震保険と固定資産税は、年単位でまとまった額になる
- 立ち上がり期間の無視——①のとおり1年目は満室前提にしない
数字③|"税引後"で見る——会計士・税理士だからできる設計
ここからが、運営者であり会計士・税理士である私の本領です。宿泊業は、同じ売上でも税務の設計しだいで「手取り」が大きく変わります。
新築なら、消費税の還付を設計する
新築で建物を取得する場合、建物・設備にかかった消費税は、要件を満たせば還付を受けられる可能性があります(規模によっては数百万〜1,000万円前後)。還付を受けるには「建物を取得する事業年度に課税事業者であること」など、取得前に決めておくべき段取りがあり、引渡し後では取り返せません。ここは開業前相談で最初に確認する論点です。
減価償却と、個人/法人の選択
建物の構造・取得の仕方で減価償却の効き方が変わり、既存の所得との合算しだいで「個人で持つか・法人で持つか」の有利不利も変わります。単年ではなく、開業後3〜5年の税負担で設計します。
2027年2月開始・沖縄県宿泊税への対応
沖縄県の宿泊税が2027年2月1日の宿泊分から始まります(定率2%・1人1泊上限2,000円、本部・恩納・北谷・宮古島・石垣は市町村分を併課)。宿泊事業者は特別徴収義務者として登録し、預り金として経理・月次で申告納入する事務が新たに発生します。当事務所は自らの施設でこの対応を進めており、実務に即してご支援できます。
開業前に決めておくべきこと
宿泊施設の開業では、あとから取り返せない論点が、着工や引渡しの前に集中しています。ご相談では、次のような点を横断で整理します。
- 個人で取得するか、最初から法人で取得・運営するか(消費税・所得の分散・将来の承継まで含めて)
- 新築建物にかかる消費税の還付の設計と、届出のタイミング
- 土地と建物の名義をどう分けるか、相続まで見据えた土地の貸し方
- 地域特有の助成金(着工前でないと申請できないものが多い)
- 旅館業の許可の種別(将来の人材採用にも影響します)
これらは着工・引渡しの前に決めておかないと選べなくなるものが多く、早めのご相談ほど打ち手が増えます。「まだ物件も決まっていない」という段階のご相談が、いちばん打ち手が多く残っています。
ご相談メニュー(料金)
「相談してよかったか、料金で不安になりたくない」という声にお応えし、料金は明示しています。
| メニュー | 内容 | 料金(税込) |
|---|---|---|
| 初回相談 | 方向性の確認・ご相談内容の整理 | 無料(15〜30分) |
| 開業前相談 | 個人/法人・消費税還付・融資・補助金の論点整理 | 60分 33,000円/90分 55,000円 |
| 会計・収益レビュー | 既存の会計・収益性のチェック、改善提案 | 55,000円〜110,000円 |
| 融資・事業計画 | 事業計画書・資金繰り表の作成支援 | 110,000円〜330,000円 |
| 開業後の顧問 | 記帳・月次・申告・宿泊税対応まで継続支援 | 料金ページをご覧ください |
まとめ
沖縄の宿泊業は、観光需要という追い風がある一方で、立ち上がりの時間・コスト構造・税務の設計を見誤ると、計画どおりには残りません。私は、それを机上ではなく自分の施設の数字で経験してきました。
これから沖縄・離島で宿泊業を始める方、すでに運営していて会計や税務に不安のある県外オーナーの方は、開業前・物件取得前のできるだけ早い段階で、一度ご相談ください。「現場を回している会計士・税理士」として、数字の裏付けのあるご支援をお約束します。
沖縄で宿泊業を始める方・運営中の県外オーナーの方へ
物件取得前・開業前・融資前の論点整理から、消費税還付の設計、開業後の会計・宿泊税対応まで。初回15〜30分は無料です。